| 第4章 災 難 (1) |
私達の夕食の時間はいつもまちまちでした。でも1日のうちで夕食の時間が、最も会話がはずむ時間です。ヨッシーから日本のことを聞き出す良い機会でもあるのです。
楽しい話、、悲しい話、その時によっていろいろあります。
「ねぇ、あまり面白くない話だけど、僕が大変腹が立ったものだから……。聞いてくれるかな?実はタルサに来る飛行機の中で、となりに座ったビジネスマンが僕に最初に質問したのは“まだ日本ではゲイシャガールを教育しているのかい?”だって。これには僕はいやな気がしたな。芸者って聞かれると僕は恥ずかしい気がするな。どうしてアメリカ人はこんなことばかり言うのかな。日本の美しさもよく話してくれるけど、それはそれで僕はうれしいんだけど、何故アメリカ人が日本人のやってきたことをもっとよく知ってくれないのかな。今や日本はいろんな面で高いランクにいるんだ。日本人のほとんど100%字が読めるんだ。どこの国に比べても新聞や雑誌が読まれてるんだよ。こういうことを何故みんな知ろうとせずに、ゲイシャガールとかばかりに興味を持つんだろう。」
これは彼が私の家に来て以来始めて見せた怒りの表情でした。
「私はゲイシャガールというのは、単なるエンターテイナーで"芸をする人"という意味だと思っていたんだけど違うのかい?」
「もちろんそういう意味もあるが、もっと汚い意味もあるんだよ。」
「ヨッシー、誤解というのはどこにでもあることよ。アメリカ人が誤解していることは一杯あると思うわ。アメリカの中でも一杯誤解していることがあるの。例えばニューヨークの人なんか、オクラホマなんかまだ荒野ぐらいにしか考えていない人もいるのよ。私たちだって彼らのことで知らないことがたくさんあると思うの。」私は彼をなだめようとして言いました。
カーチスも助け舟を出して「僕だってこの前ペンシルバニア州に行ったら、"オクラホマって家から地平線が見えるのかい?"なんて聞かれたんだよ。だから"うん、そうだな隣の家の境くらいは見えるよ"って茶化してやったよ。」
ヨッシーは少し気分を直して「そんなものかな?」とつぶやきました。
「あなたがここに来ている理由もまさにこの誤解をとくためでしょう。AFSのモットーを思い出してごらん。“一緒に歩こうよ、一緒に話そうよ、地球上の友達よ。その時だけに地球に平和が訪れるんだよ”。」
カーチスが「この言葉はサンスクリットから来たんだってね。」と言うと、ヨッシーは良くわかったようにうなずいて見せました。
夫のジョーが「みんなお互いに良く知り合おうとする努力が大切なんだ。」と言ってみんなの気持ちを結論づけて話は終わりました。
ある夕方のことです。第2次世界大戦のことが話題になったことがありました。
ヨッシーは「すべてお母さんやおばあさんから教えてもらったことだけど。」と言いました。日本人は戦争に負けたということを聞いても、なかなか信じなかったそうです。200年もの長い間、日本人は戦争に負けた経験を持ったことがなかったからです。日本は既に食物不足の危機に陥ったいたために、蛙や鳥、雑草など何もかも食べられそうなものはすべて食べたそうです。(続く) |
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