2006年4月
中国外交要人と会談

路甬祥全人代副委員長と会談(全人大会堂にて)、姜恩中全人代外事委員会主任委員と会談(全人大会堂にて)、武大偉外交部副部長と会談(外交部にて)。いずれも現在日中間が抱えている諸問題(靖國問題・東シナ海開発問題・李発言等々)について、強く日本の立場を主張した。中国外交史において率直に且つ本音の初めての会談だった。

  • 日時  平成18年4月24日(月)
  • 場所  中国北京市  人民大会堂及び外交部
  • 会見相手
    路甬祥(ロ・ヨウショウ)  全人代副委員長(国会副議長に相当)
    姜恩柱(キョウ・オンチュウ)全人代外事委員会主任委員(国会外務委員長)
    武大偉(ブ・ダイイ)    外交部副部長(外務副大臣)

  1. (原田)米中首脳会談の成功に対しお祝いを述べた。続いて北朝鮮に係る六カ国協議において中国政府ならびに武大偉副部長らの指導力に感謝するとともに核開発や拉致問題の解決に向けて更なる努力をお願いした。
    (武氏)北朝鮮も次回協議にむけて前向きの可能性が出ていることまた東京の会合のとき韓国人の夫のDNA鑑定が出た事には戸惑った。
  2. 靖国問題について。
    (中国)いずれも型どおりの意見陳述、即ち一握りの戦争指導者が数千万の人民を殺傷した、この霊を合祀した神社に国の首相が参拝することは国民が許さない。胡錦涛主席も首相が参拝を止めさえすれば両国間は平常に戻ると言っている。
    (原田)自らの祖先をいかに敬うかはそれぞれの国民の宗教観、死生観によっている。靖国神社は多くの国民に敬愛されており、つい数日前も150人以上の国会議員が参拝したがこれは国民を代表しての参拝だ。日本は先の戦争を深く反省しておりそれ故に一貫して平和主義を貫いている。小泉首相はA級戦犯を除いた多くの英霊たちに祈りを捧げているし平和を誓っている。国と国とには考えや伝統がちがっているのが当然であり祖先の祭り方も違う、その違いをお互い認め合うのが成熟した国同士の関係である。意見が違うから会わないというのは関係をよくしようとする気持ちがないのではないか。それをあまり外から言うと「内政干渉」という印象を多くの国民に与えている。中国国民が「誇り」を高く持っているように、日本人も「誇り」の高い国民であって中国が靖国発言をすればするほど日本は譲れなくなる。小泉首相は民主的手続きで選ばれ5年以上高い国民の支持を得ているが彼は国民の意を戴して行動しておりいささかでも中国国民を傷つける気はない。3月末に7団体の責任者が胡主席に会って「靖国に行くな」といわれたが国では甚だ評判が悪い。
    (中国)中国には「和をもって尊し」「人のいやがることを施してはならない」などの諺がある。小泉さんもこれをわかって欲しい。
    (原田)全く同じ考えだ。これだけ靖国参拝の平和的意義を説明しているのにどうしてわかってくれないのだろう。未来志向でいけないのか。
  3. (原田)誇りといえば私は中国を「礼節の国」と尊敬してきた。然るに3月の李肇声外相の発言、昨5月呉儀福首相がドタキャンした事件など意見が違うからと他人を認めないのは礼節に悖るのではないか。
  4. 一昨年の潜水艦侵犯事件、昨年の反日暴動、上海総領事館員の自殺問題などいずれも謝罪を受けてない。これらは日本国民に心の傷を残している。また未だ反日教育が中国では行なわれているというがこれは改めて欲しい。
  5. 東シナ海のガス田開発に対して日本側の提案にしっかり応えるべきだ。我々はこれを平和の海としたい。まず中間線を認めることがベストで大陸棚を主張するなら日本は200海里を主張する。また紛争がある限りは開発すべきでないというのが海洋法条約の考えだ。武氏頷く。
    (武氏)我が方は大陸棚主義を取っており日本案は受け取ってない。「共同開発」について外に発表してないがその辺は日本の外務省とよく相談して欲しい。
    (原田)今回中間線を大きく越えて船舶航行禁止令を出したがそれを撤回したと聞いているが当然のことである。
  6. (中国側)中国は軍事的にも経済的にも脅威などにはなり得ない。軍事費などは国土の大きさ、海岸線の長さなどからみると先進国よりはるかに見劣りがする。
    (原田)わが国はそれほど感じてないが、「脅威」というのは与える側が言うものではなくまわりがどう受け取るかが大事なのだ。中国のように巨大な国土と人口、さらには大きな経済的発展性などから周りの国がそれを「脅威」と見るかもしれない。大国というものは常に自国の存在が他に大きな影響を持つということを知らなければならない。
  7. (原田・姜)日本の国会と中国の全人代(国会)との間には議長を長とする定期交流会があるがこの会はどちらかというと儀礼、セレモニーが主である。むしろ具体的な問題について突っ込んだ議論をするためには衆議院外務委員会と全人代外事委員会との間で定期的に交流する場を立ち上げよう。