日本の精神『武道場』

  ポーランドに驚くべき施設がある。日本の武道精神を取り入れ体現した、その名も『武道場』という。ポーランド人の「クチンスキー」なる人物が興し運営している総合武道施設で、空手道場を中心に柔道、剣道の道場を併設する壮大な施設で、同時に数百人が稽古に打ち込める。のみならず大規模かつ清潔な合宿所、トレーニング、食堂、休息所まで備え、その敷地たるや広大かつ緑の大自然に広がっている。ここポーランドの人里離れたスタラビエス地区は息飲む日本の心と精神で満ちている、さながら一大別天地である。
  クチンスキー氏は、空手8段位、工学系の博士号を有し、実業家でもある。施設設立して10年、私とはその前からの知り合いで、まずは日本で(私は柔道)武道家として交流していた。この施設建設についても応援はしていたし、その仕上がり後には、その訪問につき強い招待を受けていた。遂に今日その思いが実現したという次第。実に私はこの施設の「名誉館長」と呼ばれている。
  昨日のカトビツから、...大雪の降りしきる中、車をぶっ飛ばして2時間、たどり着いた道場ではクチンスキー氏ほか門人たちが揃って出迎えてくれた。抱き合っての旧交に浸る間もなく、広い施設の案内を受けた。帰国の飛行機までの1時間という、超 限られた時間であったが、建物ひとつひとつに武道と日本の精神性に対する深い憧憬と帰依を感じて、改めて彼の人間性を確認することとなった。
  なお、何度か日本に挨拶にきた愛息は2年前不慮の事故で亡くなっていた。「おい、ブラット、やっと、来たよ。お前は何故ここに居ないんだ。」と写真に向かって呼びかけた。享年33歳。