「義昭二世!」の結婚式

  結婚式に行って来ました。新郎の名前は「S 義昭君」という。34歳。
 父親Sさんとは深い仲で、実に50年近くに遡る。私は大学出てしばらく東京で定職を探していた。日銭稼ぎに建設労務に就いて謂わゆる「飯場」で寝泊まりしていた。そこに九州の田舎から出ていた中学卒のS君がいた。荒くればかりの飯場では、私はつい彼の庇護者まがいの関係となり、爾来長い付き合いが始まった。定時制高校に通わせる手伝いをしたり、そのうち自分で夜間大学にも行った。いつしか中学校の教師にもなって、バリバリの熱血先生にもなった。
  遂には神奈川県の女性との結婚式にも呼んでくれた。しっかりした家庭だったので安心した。程なくして長男が生まれた。先生、名前を付けてくれ、と頼みに来たのでモタモタしていたら、先生、もう付けました、そっくり貰いましたという。それが「義昭」になったということらしい。爾来、この義昭君を、私が何するでなし、ただ遠くからいつも見ていたような...。でもやはり嬉しいものです、今や立派な会社に勤め、多くの上司、友人たちに囲まれ、何より素敵な伴侶に恵まれて。
  パーティでは、「よしあき、よしあき」と仲間たちが呼び捨て合う喧騒の中で、S君との過ぎし半世紀を独り思い出していたものです。