ニュートンが「万有引力」を発見したのは 

  1665年から数年、英ロンドンではペストが大流行、大火が続き、大災難の時代となった。市民は災厄から逃れるために強制的に田舎に疎開したが、そこでは却って存分の時間、思索の時間を得ることとなった。あのニュートンも1年半その疎開で過ごし、有名な「万有引力」を発見した (創造的休暇)。今ではこの年は「驚異の年」と呼ばれ、尊敬とともに偉大な年と振り返られる。
  今わが国は経験のない大災難の中にあり、仕事も学校も会議も懇親も全て止められて、自宅蟄居(ちっきょ)を強いられている。唯だ天への不満と身の不運を託(かこ)つのみだが、存分の時間、思索の時間があることにはっと気付く。
  さてニュートン卿には及ぶまいが、後世の子孫たちは、2020年を「驚異の年」と呼ぶことはあるだろうか。
(14世紀のペスト禍が中世ヨーロッパのルネッサンスの揺籃(ゆりかご)になったともいわれる。)          (毎日新聞コラム)