「核兵器禁止条約」に取り組もう

  昨9日、長崎も終わり、6日の広島と合わせて75年目の原爆記念行事が済んだ。原爆被害報道で受ける痛さ、苦しみと悲しみでひたすら胸が引き裂かれる。今や、あの原爆の歴史的、軍事的経緯などには何の関心もない、両市の宣言に出てくるのは国として「核兵器禁止条約に参加(署名批准)してくれ」という言葉。そして国はこれに答えない。
  その中身は単純、核兵器は製造も利用も将来には禁止しようという決意の表明。しかしすでに多くの国が核保有し、核兵器が持つ他国への軍事的抑止効果は決して小さくないとされている。
  日本は、この条約に参加していない、署名に至ってない。日本の考えは(必ずしもはっきりしないが、)以下の通り。日本は唯一の被爆国であって、先頭立って核禁止を訴えている。ただ現実の安全保障では米国の核戦力の傘下にある。核戦力が持つ抑止力の現実的効果はむしろ増大している、それ無くば、ロシア、中国、北朝鮮などの核脅威には対抗出来ないから。しかしそもそも現条約には核保有国は参加しておらず、核禁止運動への実際的影響は小さいのではないか。
  日本の立場は、保有国の気持ちにも寄り添いつつ、核禁止という崇高な目的を実際面で指導、リードしていくこと。「唯一被爆国」の使命は非常に大きく、非核三原則、核兵器不拡散条約(NPT)の運動こそが最も現実的な道筋である。
  国の基本方針は、極めて複雑かつ深い思索のもとに行われる。あらゆる事態を考慮して、遂に実行に移される。最後は勇気と決断である。今中国の戦略的覇権主義、北朝鮮の暴発危機などを身近に考えるとき、核抑止力を持つことは絶対に必要なこととされている。しかし日本の決意を示すことで、中国や北朝鮮などの全体主義、覇権主義にも再検討を促す契機にならないか、米露中3大国の核軍縮運動への大きな刺激にならないか。
  米国と話し合えば、わが国の安保上の対米依存を減らす懸念は些かもないと考える。米国だって、核軍縮を目指している。
  極めて大胆な私見であるが、誰かが言わなければならない。日本の影響力は、実はもっと大きいのではないか。ご批判を仰ぎたい。